2021 年 36 巻 1 号 p. 101-106
〔目的〕片麻痺に対する病態失認(AHP)は,体性感覚障害と半側空間無視(USN)を高頻度で合併するが,今回,我々はこの両者を伴わないAHP例(NSU例)を経験した.本研究の目的は,NSU例と同様に体性感覚障害とUSNのないAHP文献例を集積し,その関連病巣からAHPの発現要因を検討することとする.〔対象と方法〕対象は,NSU自験例1例と集積したNSU文献例3例とし,各症例の損傷部位から,AHPの発現要因を検討した.〔結果〕NSUの関連病巣として,背外側前頭前野(DLPFC)が4例中3例,被殻・淡蒼球は4例中2例で認めた.〔結語〕DLPFCは自己モニター,被殻・淡蒼球は動作選択と関連し,両領域を結ぶ「連合系ループの機能低下」がNSU例のAHP発現要因と考えた.