2022 年 37 巻 4 号 p. 441-445
〔目的〕ノルディック・ウォーキング(NW)とT字杖での歩行が歩容や姿勢に及ぼす影響を明らかにする事を目的とした.〔対象と方法〕対象は,NWの経験がない健常若年成人20名とした.NW,T字杖での歩行,杖なしでの歩行の3つの条件での歩行をトレッドミル上で実施した.歩行の速度は快適歩行速度とした.モーションキャプチャシステムを使用し,身体各部の角度(頸部・体幹・股関節・膝関節)を算出し比較を行った.〔結果〕通常歩行に比べ,T字杖歩行で歩行中の頸部最大屈曲が有意に大きな値となった.また,NWでは歩行中の膝最大屈曲が有意に小さい値となった.〔結語〕頸部疾患や膝関節疾患を有する症例に対して,力学的負荷を軽減したいような場合にはNWの方が有効となる可能性を示唆する結果となった.