理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
38 巻, 2 号
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表紙
会告
目次
原 著
  • 北尾 浩和, 野村 嘉彦, 中島 翔吾, 四方田 英剛, 塚本 剛士, 松下 翔, 尾谷 雅章, 中本 隆幸
    2023 年 38 巻 2 号 p. 90-95
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/15
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕回復期リハビリテーション病棟における大腿骨転子部骨折患者の実績指数に影響を与える要因を明らかにすること.〔対象と方法〕大腿骨転子部骨折患者117例を対象に運動FIM利得および回復期在棟日数と回復期リハビリテーション病棟入棟時に取得可能な9変数との関連性をスピアマンの順位相関係数とステップワイズ法による重回帰分析を用いて検討した.〔結果〕運動FIM利得については入棟時運動FIM,入棟時認知FIM,受傷前歩行能力が影響し,回復期在棟日数については各変数との間に有意な相関は認められなかった.〔結語〕前記の3変数が高いほど浴槽移乗や階段移動の項目を中心に運動FIM利得が高くなり,実績指数に影響を与えることが示唆された.

  • 末廣 忠延, 石田 弘, 小原 謙一, 大坂 裕, 黒住 千春
    2023 年 38 巻 2 号 p. 96-103
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/15
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕再発性腰痛者における視覚的フィードバックを用いた運動制御トレーニングが,自動股関節外転テスト時の腰椎骨盤の動きに及ぼす即時的効果を明らかにすること.〔対象と方法〕対象は再発性腰痛者とし,骨盤の動きを視覚的にフィードバックさせ股関節外転運動を実施する群と,視覚的フィードバックを用いずに股関節外転運動を実施する群に割り付け,群間での介入効果を骨盤の動きと筋活動で比較した.〔結果〕視覚的フィードバックを用いた群では,介入後に股関節外転時の対側の腹斜筋群の活動が増加し骨盤挙上が減少した.〔結語〕視覚的フィードバックを用いた運動制御トレーニングは,即時的に過剰な骨盤の動きを抑制することが示唆された.

  • ─1年次と4年次の比較─
    齋藤 大資, 久保 晃, 屋嘉比 章紘
    2023 年 38 巻 2 号 p. 104-108
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/15
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕認知症患者に対する理学療法学部生の知識と態度の現状を知り,学生への認知症教育の一助とすること.〔対象と方法〕理学療法学部生を対象に1年次(95名)と4年次(86名)の2点で認知症に関する知識(15問)と態度(14問)を縦断的に調査した.〔結果〕認知症に対する知識は4年次で有意に向上し,態度には有意な変化は認められなかった.態度の肯定的な質問項目では,点数が有意に向上している項目があった.〔結語〕理学療法学部生は,1年次から4年次にかけて認知症に対する知識は有意に向上したが,態度には有意な変化はなかった.

  • 野村 友美, 藤田 和樹, 津嶋 勇一, 堀 秀昭, 小林 康孝
    2023 年 38 巻 2 号 p. 109-114
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/15
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕脳卒中片麻痺患者において屋外活動の可否に影響を与える歩行時の前遊脚期から遊脚期の運動学的因子を明らかにすること.〔対象と方法〕脳卒中片麻痺患者35例を対象とし,Functional Ambulation Classification of the Hospital at Saguntoを用いて,屋外活動の可否で群分けした.動作解析装置にて10 m歩行時の前遊脚期から遊脚期の運動学的因子を算出し,歩行速度を共変量とした共分散分析にて群間の比較をした.〔結果〕屋外群の足尖離地時の膝関節屈曲角度と足関節底屈のピーク角速度は,屋内群に比べて有意に高値を示した.〔結語〕脳卒中片麻痺患者が屋外活動を可能にするには,足関節底屈によるプッシュオフと,それに伴う膝屈曲角度の確保が重要であると示唆された.

  • ─ランダム化クロスオーバー試験─
    HAN Yuzuo, 黒澤 和生
    2023 年 38 巻 2 号 p. 115-123
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/15
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕三種類の腸腰筋ストレッチングが脊椎と骨盤に与える影響を目的とした.〔対象と方法〕18人健常大学生を対象とし,腸腰筋に20秒3セットのスタティック・ストレッチング(SS),Hold Relax-PNF(HR-PNF),ダイナミック・ストレッチング(DS)を行い,T12,S1,腰椎前弯角度,腰椎可動域,骨盤傾斜角度をストレッチングの前,直後,30分後,60分後,90分後に測定した.〔結果〕HR-PNFはT12の増加と骨盤傾斜の減少が認められた.DSはT12の減少が認められた.ストレッチングの方法にかかわらず,腰椎可動域のある程度の増加を示した.〔結語〕HR-PNFは,若年健常者を対象として骨盤傾斜を減少する3つのなかで,最も有効的なストレッチング方法であることが明らかになった.

  • ─地域在住自立高齢者を対象とした有用性の検証─
    黒澤 千尋, 小池 友佳子, 白濱 勲二, 藤田 峰子, 玉垣 努, 島津 尚子, 甲斐 義弘
    2023 年 38 巻 2 号 p. 124-129
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/15
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕我々の開発した運動機能の簡易的動作計測システムを用い,早期に運動機能低下をスクリーニングする指標として遠心加速度の有用性を検討した.〔対象と方法〕地域在住自立健常高齢者25名を対象とし,簡易的動作計測システムを用いたTimed Up and Go test(TUGテスト)の計測およびフレイルの調査を行った.〔結果〕全対象者のTUGテストの所要時間と歩数および遠心加速度に相関関係がみられた.TUGテストの所要時間ではフレイル群とロバスト群とで有意な差を認めなかったが,遠心加速度は有意な差を認めた.〔結語〕高齢者においては,遠心加速度は運動機能低下をより詳細に評価する指標となり得る可能性が考えられた.

  • 松本 千晶, 宇津木 涼太郎, 菊池 智明, 萩島 正太, 山中 彩斗, 井川 達也, 石坂 正大, 久保 晃
    2023 年 38 巻 2 号 p. 130-134
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/15
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕サッカーのボールキックの際のボール速度と筋量および筋力の関係を明らかにすること.〔対象と方法〕サッカーまたはフットサルを定期的に実施している男子大学生26名を対象とし,利き足と非利き足でキックした際のボール速度,筋量(体組成成分)および筋力(等速性最大脚屈曲・伸展筋力)を測定し,それらの間の関係を考察した.〔結果〕ボール速度は利き足が筋肉量,非利き足が等速性最大脚伸展筋力と相関がみられた.〔結語〕利き足と非利き足ではボール速度と筋量,筋力との関係が異なる.

  • 小田桐 伶
    2023 年 38 巻 2 号 p. 135-139
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/15
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕脳卒中者において発症時と発症後2週時の体組成を比較し,差をもたらした原因を考察することである.〔対象と方法〕急性期脳卒中患者33名を対象とした.Body Mass Index(BMI),体脂肪率,Skeletal Muscle Mass Index(SMI),体幹筋肉量,麻痺側上肢筋肉量,麻痺側下肢筋肉量,非麻痺側上肢筋肉量,非麻痺側下肢筋肉量を,発症3日以内の時点と発症後2週±2日の時点において測定して比較し,それぞれの効果量を算出した.〔結果〕発症から2週間経過すると,BMIは有意に減少するが,SMI,下肢筋肉量,体脂肪率には有意差は認めなかった.体幹と両上肢には有意な筋肉量低下が生じ,その効果量は大きく中等度~強度であった.〔結語〕脳卒中患者は発症から2週間経過すると,両上肢・体幹の筋肉量が低下しやすい.

  • 鈴木 直哉, 伊藤 将円, 井川 達也, 浦田 龍之介, 佐々木 拓良, 鈴木 皓大, 伊藤 梨也花, 鈴木 満里乃, 久保 晃
    2023 年 38 巻 2 号 p. 140-143
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/15
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕間欠性跛行を伴う下肢閉塞性動脈疾患患者のサルコペニア有病率を明らかにし,重症度との関連性を運動機能とともに検討することである.〔対象と方法〕下肢閉塞性動脈疾患患者38名を対象とした.サルコペニアの評価はAsian Working Group for Sarcopenia 2019を用い,他に6分間歩行距離,等尺性膝伸展筋力などを評価した.間欠性跛行重症度の違いを評価するため,Fontaine stageのIIaとIIbに郡分けし比較した.〔結果〕下肢閉塞性動脈疾患患者のサルコペニア有病率は40%であった.IIb群では握力,歩行速度,等尺性膝伸展筋力,6分間歩行距離がIIa群より有意に低下した.〔結語〕下肢閉塞性動脈疾患患者のサルコペニア有病率は非常に高く,疾患重症度と運動機能が関連していた.

症例研究
  • ─1事例研究デザインによる予備的研究─
    西北 健治, 井尻 朋人, 鈴木 俊明
    2023 年 38 巻 2 号 p. 144-149
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/15
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕非麻痺側上肢,麻痺側上肢の順に感覚弁別課題を行うことで,麻痺側上肢の痛みを軽減できた症例について報告する.〔対象と方法〕左脳出血発症から半年後,安静時から右上肢の痛みを訴える40代女性である.アロディニア等が認められ,痛みの原因を複合性局所疼痛症候群type 1と判断した.治療として,硬さ,表面凹凸,大きさの異なるボールを使った触覚識別課題と温度の異なる水を使った温冷覚識別課題を行った.期間は毎日30分間を1週間実施した.先に非麻痺側上肢を用いた感覚弁別課題を実施後に,麻痺側上肢を用いた感覚弁別課題を実施した.〔結果〕麻痺側上肢のみと比較し,弁別課題の正答率が向上した.介入1週間で右上肢の安静時の痛みが軽減した.〔結語〕麻痺側上肢のみの感覚弁別課題が困難な場合は,非麻痺側上肢も用いた感覚弁別課題が有効である場合があることが示唆された.

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