2025 年 40 巻 6 号 p. 243-248
〔目的〕通常のFunctional reach test(FRT)および股関節の自由度を制限した条件付きFunctional reach test(条件付きFRT)とでFR距離とCenter of pressure前方移動距離(COP-A)との関係を明らかにし,両者を比較検証した.〔対象と方法〕運動疾患を有さない,健康成人22名を対象とした.評価項目は,通常のFRTおよび殿部にアダプターテーブルを当て,股関節の自由度を制限した条件付きFRTを実施し,測定時のFR距離およびCOP-Aを測定した.〔結果〕FRTと比較し,条件付きFRTでは,各3回の測定値間の級内相関係数は0.97と高い信頼性が得られた.COP-Aとの関係においても0.73と高い相関関係が認められた.〔結語〕条件付きFRTにて測定値の信頼性,妥当性ともに高いことが示された.条件付きFRTはバランス能力を定量的に評価し,客観的指標の1つとして健常者で有用性が示唆された.