抄録
本研究の目的はJendrassik氏反射増強法が下肢ヒラメ筋のH反射にどのような影響を与えるのかを検討することにある。過去の実験結果からH反射の波高値は増大することが知られているが,その機序としては明確な見解が出されているとはいえない。そこで脊髄内の反射機構にどのような変化が起きているのかをH反射の潜時に着目して検討した。安静時と比較しH反射波高値は増大傾向を示し,潜時については0.3msec.と有意に延長を認めた(p<0.05)。このことは,H反射を増大させるための何らかの介在ニューロンが生じた可能性を示唆し,上肢の運動負荷とH反射の変化との関係を明らかにするための一助となるものと考えられた。