抄録
本研究では,足背屈筋力の簡便な定量的測定方法の検討と計測学的信頼性を明らかにすることを目的とし,健常人の加齢変化の影響と患者の筋力を計測した。健常人30名を対象に行った,Hand Held Dynamometerによる等尺性収縮筋力の測定結果から,測定における再現性と信頼性は変動係数が4.2~5.4%と低値を示した。また,方法を理解した複数の検者による測定でも信頼性の高い値が得られた。足関節背屈筋力と加齢の関係は,相関を認めたが傾きは緩やかで,30歳以上と30歳未満とで筋力測定値を比較検討したが有意差は認められず,加齢による影響は少ないと考えられた。また,腰痛,股・膝関節疾患,片麻癖患者の筋力は有意な低下を認め,これらの諸特性を定量化し臨床的に応用することの有用性が示唆された。