1996 年 11 巻 4 号 p. 207-209
本論では頭痛の知覚に共通する神経解剖学について記述する。頭痛には種々の原因が考えられ,またその臨床像も多様であるが,多くの頭痛に共通する神経解剖学的基礎が存在する。侵害受容器性の情報は三叉神経脊髄路核と上位頚髄とによって形成される三叉頚髄核という中継核によって伝えられる。この三叉頚髄核には,三叉神経,上位頚神経をはじめ舌咽神経,迷走神経の終末が存在し,核内ニューロンの活性化によって上位中枢ヘインパルスが送られ頭痛が知覚される。また,三叉頚髄核におけるこれらの求心性線維の収束は関連痛を引き起こす。