陸水学雑誌
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原著
尾瀬ヶ原のアカシボ現象に関する研究
―尾瀬ケ原のアカシボにみられる無脊椎動物―
福原 晴夫大高 明史木村 直哉菊地 義昭山本 鎔子落合 正宏福井 学野原 精一尾瀬アカシボ研究グループ
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2006 年 67 巻 2 号 p. 81-93

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抄録
 春の融雪期に, 尾瀬ケ原の一部で, 例年「アカシボ」と呼ばれる彩雪現象がみられる。このアカシボ雪の中や表面に, 線虫類, ソコミジンコ類, ケンミジンコ類, ミズダニ類, クマムシ類, 貧毛類, ガガンボ科幼虫, ヌカカ科幼虫, ユスリカ科幼虫などが出現した。この中でも特に, ソコミジンコ類, 貧毛類, ガガンボ科幼虫, ヌカカ科幼虫, ユスリカ科幼虫の密度が高かった。見本園アカシボの総密度は雪中で2.4~3.6×104個体m-2, 雪表面で0.3~2.2×103個体m-2であった。見本園の根雪前, 融雪後のアカシボ残存物中にはアカシボ雪と共通の分類群が出現することより, アカシボ雪の無脊椎動物は湿原の土壌動物に由来するものと推定された。土壌動物がアカシボ雪中に移動する原因として, 融雪期に積雪下の地表面が湛水すること, 溶存酸素濃度が低下すること, さらにアカシボ雪の形成時にFe2+の酸化のために, 酸素が消費され, 雪中の酸素濃度が低下することが推定された。雪原食物網研究の重要性について考察した。
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© 2006 日本陸水学会
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