抄録
海洋島である小笠原諸島からは,5種の固有トンボが知られている。これらは1980年代半ば以降,父島・母島の両島において,侵略的外来種グリーンアノールの捕食圧の影響で母島のハナダカトンボを除き絶滅した。残る属島の産地は環境安定性が低く,とくに止水を好むオガサワラアオイトトンボ・オガサワラトンボは危機的状況にある。そこで,これらの絶滅危惧種の保全を人工トンボ池の創出によって試みた。結果として,池の設置を行った弟島・兄島ともこの2種を含む3種が人工トンボ池での発生を継続し,個体数も増加している。保全手法としては確立されたので,今後,父島・母島でのアノールの食害からの防衛策を含めた総合的な保全策を実施していくことが重要である。