抄録
2007年9月に琵琶湖南湖の沈水植物の種別の現存量の分布を調べた。沈水植物は52地点で潜水作業により定量的に採取された。沈水植物の分布範囲の面積と現存量はそれぞれ48.6 km2, 9623 ± 2665 tと推定された。分布範囲の面積は2002年より6 km2拡大したが,現存量は有意な変化は示さなかった。沈水植物の現存量は南湖の西岸沿いと中央部で増加したが,南部と北部で減少していた。出現した沈水植物は12種だった。センニンモの現存量は5370 ± 2217 t で全体の56%を占め,圧倒的に優占した。オオカナダモ(1211 ± 531 t)とマツモ(1194 ± 709 t)がこれに次ぐグループを形成した。三番目のやや現存量が大きいグループ(200 - 555 t)は,コカナダモ,クロモ,ホザキノフサモ,ササバモ,コウガイモで構成された。ほかの種はまれで,現存量は1 t前後かそれ未満だった。糸状藻類はかなり大きな現存量(726 ± 419 t)を持っていた。2002年から2007年の間に,センニンモ,マツモ,オオカナダモの現存量は有意な変化を示さなかった。この間にクロモとホザキノフサモは現存量が有意に減少したが,コカナダモは現存量が有意に増加した。