陸水学雑誌
Online ISSN : 1882-4897
Print ISSN : 0021-5104
ISSN-L : 0021-5104
短報
北海道の含よう素泉の分布と陰イオン成分の特徴:含よう素泉ではない強塩泉との比較
高野 敬志, 青柳 直樹, 内野 栄治
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 82 巻 3 号 p. 129-137

詳細
抄録

 北海道における含よう素泉の地理的分布および陰イオン成分組成の特徴を,2009-2019年の温泉分析から明らかにすることを目的とした。ほとんどの含よう素泉は北海道北部の日本海側から石狩平野北部および中部,石狩平野東境界に渡る帯状の地域に湧出していた。これらの含よう素泉は多くが1000 mを超える深さの井戸で,動力揚湯により新第三紀の地層から汲み上げられていた。含よう素泉の半数はヨウ化物イオン濃度が10 mg kg-1以上15 mg kg-1未満で,最高濃度は76.2 mg kg-1であった。含よう素泉の過半数は泉温が34℃未満,pHが7以上8未満,ガス成分を除く溶存物質濃度が20 g kg-1以上30 g kg-1未満を示した。泉温およびpHに対して,含よう素泉と含よう素泉ではない強塩泉の間に有意差が認められた。含よう素泉の塩化物イオン,硫酸イオン,炭酸水素イオンおよび臭化物イオン濃度は,それぞれ10 g kg-1以上12.5 g kg-1未満,10 mg kg-1未満,100 mg kg-1以上500 mg kg-1未満,25 mg kg-1以上50 mg kg-1未満の頻度が最も多かった。これら陰イオンの中で,硫酸イオンのみに対し,含よう素泉と含よう素泉ではない強塩泉の間に有意差が認められた。硫酸イオンの濃度が低いことは化石海水の特徴であり,含よう素泉の起源は化石海水が主体となっていると考えられた。しかしながら,多くの含よう素泉の臭化物イオン:塩化物イオン比およびホウ素:塩化物イオン比は,化石海水のそれぞれの比よりも高い値を示した。このことから,何らかの臭化物イオンおよびホウ素の負荷があることが示唆されたため,含よう素泉の成分組成がどのように成立してきたか更なる検証が必要と考えられた。

著者関連情報
© 2021, The Japanese Society of Limnology
次の記事
feedback
Top