2025 年 86 巻 1 号 p. 37-44
本研究では,琵琶湖の深湖底に生息するビワオオウズムシBdellocephala annandaleiの摂食速度と排泄等による溶存態窒素の放出速度を室内実験で調べた。実験では,餌として琵琶湖に生息しているDaphnia pulicariaの死骸を用い,水温は生息環境に近い7.5 ± 0.3 ℃にした。ビワオオウズムシの摂食速度は,炭素では128.89±28.21 μg mgDW-1 d-1,窒素では27.27±5.53 μg mgDW-1 d-1であった。一方,溶存態窒素の放出速度を溶存態全窒素(DTN)とNH4-Nで求めたところ,DTNでは9.23±1.14 μg mgDW-1 d-1であり,NH4-Nでは1.95±0.49 μg mgDW-1 d-1であった。これらは,これまでなかった本種の生態学的な基礎知見であり,琵琶湖深湖底での栄養塩循環において本種が果たす機能の理解を進めるものである。また,ビワオオウズムシは,温暖化による貧酸素化の影響で減少傾向にあることから,本種の保全や,個体群衰退後の湖底生態系に生じるリスク評価に,本研究の知見は役立つと考える。