2026 年 87 巻 1 号 p. 69-75
ケミゾユスリカ属Stempellinella Brundin, 1947は世界では24種,国内からは3種がこれまでに報告されており,その幼虫は湧水,河川や湖沼に生息することが知られている。本研究では,北海道足寄町下足寄湖で採集されたミツオケミゾユスリカ(新称)S. bazovae Orel, 2023 の国内初記録について報告する。本種の日本産雄成虫の形態を記載し,東アジアおよびロシアで記録されている種を含めた検索表を作成した。また,本種のミトコンドリアDNAのCOI領域の塩基配列を決定し,データベース上の既知の配列と比較した結果,本種は本属既知種とは区別可能であった。また,データベース上のカナダ産未同定種との間には塩基配列において高い相同性がみられたことから,本個体はS. bazovaeであると考えられた。今回得られた形態的および遺伝的な情報は,今後の本属を対象とした分類学的および生態学的研究に有用であると考えられる。