2026 年 87 巻 1 号 p. 43-67
酸化的な湖沼・河川などの地表水,および還元的な湖沼深部・地下水を対象に,ウラン(U)の化学状態や動態に関する知見を整理した。炭酸イオンやカルシウムイオンとの錯体形成,固相表面への吸脱着反応,酸化還元反応にともなう価数変化などが,Uの挙動や移動性に大きく影響する。特に,炭酸化学種濃度が高く還元的な環境では,U(VI)-炭酸錯体の形成やU(IV) への還元反応の抑制により,Uの溶解度や移動性の低下が生じにくくなる可能性がある。また,Uをはじめとする酸化還元に鋭敏な元素の化学状態や移動性を支配する要因の一つとして地下水の酸化還元状態に着目し,その測定・評価手法や,地下深部における坑道掘削にともなう擾乱の影響について,筆者らの研究成果を交えて概説した。