陸水学雑誌
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谷津干潟における溶存態有機窒素(DON)および尿素が富栄養化に与える役割
加藤 元輝, 千賀 有希子
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2026 年 87 巻 2 号 p. 145-158

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抄録

 溶存態有機窒素(DON)の富栄養化への影響として,DONを藻類が取込む直接的影響とDON分解から生じるNH4+を取込む間接的影響が考えられる。本研究はDONの中でも尿素に着目し,富栄養化によりアオサの異常増殖がみられる谷津干潟において月に1度,海水と間隙水のモニタリングを行った。海水の尿素濃度は他の水域より高かった。重回帰分析より海水の尿素はDON分解から生じ,さらにNH4+へ分解することが示された。また,間隙水の尿素濃度は海水と同程度であり,その割合は海水よりも低かった。また,間隙水の尿素濃度は環境因子と相関を示さなかった。これらの結果から,谷津干潟の極めて嫌気的な堆積物では,バクテリアによる尿素の生成は非常に遅いと推察された。さらに,室内実験によってアオサによる尿素の取込みおよび生長が確認された。したがって,谷津干潟において尿素は富栄養化に直接的な影響を及ぼすと考えられた。しかしながら,尿素の取込み速度はNH4+より低かったことから,海水中における尿素がNH4+へ分解され,アオサの異常増殖を促進する間接的影響の方が大きいと推察された。

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© 2026, The Japanese Society of Limnology
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