抄録
琵琶湖北湖における栄養塩類の動態に関する最近の調査において,停滞期に硝酸が深水層に高濃度に蓄積される様子が観察され,深水層における硝酸の回帰速度は40.5mmol・m-2・mon-1と評価された。しかしながら,酸素消費量に基づく計算,によると,深水層において無機化された有機物のC:N比は19-21であったことがわかり,このことから,窒素の回帰効率は炭素のそれに比べて低いことが示唆された。溶存態リン酸は,底部付近に低濃度で蓄積されることが見いだされたが,その回帰速度は大変遅く(0.22mmol・m-2 mon-1),深水層の生物群の活性はこの湖盆におけるリンの再循環に対してほとんど寄与していないものと考えられた。栄養塩類の回帰効率を決定していると思われる要因について,深水層の微生物の生理学的特性と関連づけて考察を加えた。