抄録
本研究は,被圧帯水層内に一層の難透水層を想定し,二次元定常移流分散モデルによる数値解析を行い,この難透水層の存在が海水侵入にどのような影響をもたらすかについて考察を行ったものである。分散係数として,2種類のケースを想定した。1つは帯水層内のどの場所でもすべて一様とした場合,もう1つは難透水層内の分散係数を透水係数と同じく2オーダ小さくした場合である。
得た結果を要約すれば次のようである。
濃度分布を調べた結果,水位勾配が大きい場合には,難透水層の存在は下部透水層においては塩水の侵入を抑える効果がある。難透水層内では一様な分散係数の場合には上下透水層に比べて,より侵入した濃度分布を示すが,難透水層の分散係数を小さくすると侵入は抑えられる。しかし,水位勾配が小さい場合には,.一様な分散係数では難透水層の効果は際だって現れないが,難透水層の分散係数を小さくすると,上部透水層ではかなり侵入が抑えられ,逆に下部透水層では促進される。
また,流速分布を調べた結果,帯水層出口付近において上下の透水層で循環流がみられ,その規模は上部の方が大きい。また,難透水層内の流れは出口付近では上向きであり,この流れは,透水層の水位勾配が大きいほど大きい。さらに,塩の移動を調べた結果,上下透水層で塩の循環流が顕著に現れる。