抄録
空間手がかり法ではあらかじめ手がかりを与えておくと与えていないときに比べ,手がかり位置に提示されるターゲットの処理効率が上がることが知られている (Posner, 1980)。日常場面では,実験場面における矢印などの手がかりとは異なり,他者の動作が自身の注意手がかりとなることがある。そこで本実験では,手がかり刺激として指差し画を用い,空間手がかりとしての効果を矢印画と比較した。指差し画は上下左右を指差しした4つの上半身実写像を用い,矢印画も同様の方向にむけられた4つの画を用いた。3条件のSOA (150ms・300ms・600ms) の後,画面の上下左右のいずれかに呈示したターゲットに対して単純検出課題を行った。以上の方法を用いて,本研究では,他者の指差し画と矢印画が注意の補足に及ぼす効果と各SOA間での効果の差異を検討した。