日本臨床外科医学会雑誌
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胆石症の術後遠隔成績とそれに対するCornell Medical Index Testの応用
青木 洋三浅江 正純南方 茂樹福永 裕充佐々木 政一今井 敏和勝見 正治
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1979 年 40 巻 1 号 p. 107-114

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抄録

昭和46年1月から52年10月までに胆石症により手術を施行した272例について遠隔成績を検討するためアンケートによる回答を求め,併せて訴えの内容を明らかにする目的でCornell Medical Index深町氏変法(以下C. M. I.と略)を用いた性格検査の成績と対比した.回答が得られたのは172例, 63.2%で,結石の局在別では胆嚢が最も多く59.9%,手術時の年齢をみると50歳代, 60歳代が全体の50%を占めた.直接死亡例は1例, 0.37%,再手術例は10例, 3.68%で再手術の原因の半数は結石の遺残によるものであった.遠隔成績をみるとその12例(7%)が所謂不満足例となり,残りは全快例,軽快例と判定されたが,結石の所在別にみると肝内結石の成績が最も悪く,不満足例が40%にみられた.不満足例12例中肝硬変死した1例を除く11例でC. M. I.度数分布をみると, IV度の神経症領域に属するものが高率にみられ,術後愁訴の全てが必ずしも手術に起因したものではないように思われた.逆にC. M. I. IV度の症例では不満足例となるものが多かった.従ってC. M. I.は患者生来の性格の把握および術後愁訴が多いにかかわらず何ら器質的病変を証明し得ぬ症例における訴えの本体の究明に有効であり,ひいてはpolysurgeryを回避するための有力な手掛かりを与え得るものと考えられた.

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