日本臨床外科医学会雑誌
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術後良性胆道狭窄の臨床
山下 忠義宮村 忍嵯峨山 徹辰己 葵石川 羊男伊藤 信義
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1979 年 40 巻 1 号 p. 87-93

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抄録

昭和48年8月から53年3月までの4年7カ月間に13例の術後良性胆道狭窄症を経験し,そのうち11例に胆道再建術を施行した.
13例の原疾患は胆石症9例と十二指腸潰瘍4例であり,これらを3群に分けて検討した.
A群:手術中に胆道損傷を看過した4症例, B群:手術中に胆管の切断に気づき,胆道再建術を付加した5症例, C群:胃切除時に胆道損傷を看過した4症例.
黄疸発生までの平均期間はA群1.8病日, B群9.3カ月, C群7.2病日であった.
入院時の症状について黄疸はすべての症例に,発熱は8例,疼痛は11例にみられ, 13例中12例にPTCで損傷部を確認してPTC-Dで減黄処置を行つた.またPTC時に採取した胆汁から9例中6例にGram陰性桿菌が検出され,特にB群に多かった.
黄疸発生後胆道再建までの期間はA群43日と36日, B群平均11.3カ月, C群4.1カ月であり,それらの胆道再建法は胆管空腸Roux-Y型6例と胆管十二指腸間空腸有茎移植法5例であつた.
11例の胆道再建術症例について総Bilirmubin値で黄疸の推移をみると黄疸発生後再建までの期間が長い症例はその改善状態が遅延していた.また再建後2年以上経過した8症例のうち5例は社会復帰可能であったが,ほかの症例は再建後頻回の胆管炎の再発がみられ, 1例は他病死した.

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