日本臨床外科医学会雑誌
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高令者直腸癌手術の検討
二期分割腹会陰式直腸切断術
浦 伸三勝見 正治殿田 重彦森本 悟一庄司 宗弘家田 勝幸山口 敏朗広田 耕二松本 孝一今井 敏和竹井 信夫河野 裕利石本 喜和男橋本 忠明
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1980 年 41 巻 3 号 p. 428-433

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抄録

本邦における大腸癌,特に直腸癌の増加の著るしさは諸家の認めるところである.中でも高齢者直腸癌の占める割合が極めて大となって来ている.今回,私達の消化器外科教室開設以後,現在までの約8年間に経験した直腸癌症例172例の内, 70歳以上の所謂,高齢者直腸癌手術症例48例について検討を行なった.
更に,病巣の部位,進行度からは,当然, Miles術式が適応されるべきだが,高齢者がゆえ,または,術前のRiskの悪さの為に人工肛門造設術のみに終っていた様な症例に対して, Miles術式を二期に分割する事により手術侵襲を少なくし,積極的に癌病巣を切除することに好成績を挙げているので報告する.即ち,初回手術で,腹側操作を完全に終了しておき, 2~3週間後,全身状態が,好転してから会陰側操作のみを行なう方法である.現在まで, 7例(平均年齢77.3歳)に施行したが,略々満足出来る結果を得ている.

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