抄録
症例は62歳の男性で慢性肝炎の経過観察中持続性の右季肋部痛が出現したため,腹部エコー検査,腹腔動脈造影を行い,右後下区域に存在する5×5cm原発性肝癌と診断された.術中の検索で,慢性肝炎が存在し,且つ左葉の萎縮が認められ,術中エコーにて娘腫瘍が認められないことより区域切除が行われた.切除線の決定には術中エコーで腫瘍支配門脈を固定した後同血管に色素(カルディオグリーン0.5mg/kg)を注入し肝実質の染色を行い比較的容易に後下区域切除を行う事が出来たので本法の有用性について文献的考察を加え報告した.