日本臨床外科医学会雑誌
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脳膿瘍,硬膜下膿瘍の治療方針について
特にCT導入後の治療について
佐藤 周三戸谷 重雄大谷 光弘奥井 俊一井上 洋峯 徹
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1985 年 46 巻 2 号 p. 197-202

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抄録
脳膿瘍,硬膜下膿瘍の治療方針について,特にCT導入後の手術方法の変化と, CTをモニターとした保存的療法の適応について検討した.対象とした症例は過去22年間の34例であり, CT導入前が19例,導入後が15例である.両者の性別,原因,部位には差異が見られなかった.しかし, CT導入後には若年者および多発性の膿瘍の発見の機会が増加し,また神経症状は軽度のうちに発見されるようになった.治療方法について検討してみると,保存的療法では, CT導入前では全例死亡したのに対し, CT導入後では, CTをモニターとした化学療法で良好な結果を得ており,それらの膿瘍は平均径は2.6cmであった.また手術療法では, CT導入前には,主として被膜を含めた膿瘍の全摘が行なわれていたが, CT導入後は,穿頭, aspiration, drainage, 必要に応じて膿瘍腔irrigationを追加することで良好な結果を得ており,それらの膿瘍の平均径は4.8cmであった.
以上より, CT導入後の脳膿瘍,硬膜下膿瘍の治療方針は次の様である.
膿瘍の直径が3cm以下の症例では,化学療法を第一選択とし, CTにて経過を観察する.直径が3cm以上の症例,あるいは神経症状が進行性に増悪する症例では,化学療法に加えて手術療法も考慮する.手術は,被膜を含めた膿瘍の全摘より,むしろ穿頭, aspiration, drainage, もしくは必要に応じてirrigationを追加する.
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© 日本臨床外科学会
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