日本臨床外科医学会雑誌
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石灰化仮性脾嚢腫の1例
高柳 和男梛野 正人堀沢 稔近藤 成彦森 光平丹野 俊男
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キーワード: 石灰化仮性脾嚢腫
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1985 年 46 巻 2 号 p. 249-254

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抄録
症例は58歳男性で, 5年前の健康診断にて左上腹部の円形な石灰化像を指摘されたが,放置していた.最近,左上腹部鈍痛が時々あり,精査目的ににて当院に入院した.腹部CT,選択的脾動脈造影により石灰化脾嚢腫と診断し,脾臓摘出術を施行した.
腫瘤は,脾上極後部に位置し,全周性に非常にかたい被毅を持ち,大きさは4.0×3.0×3.0cmであり,内容物は混濁した淡黄色の液体で寄生虫,細菌は検出されなかった.病理組織所見は,周囲に石灰化を伴う嚢腫で嚢腫内壁に内被細胞を認めない仮性嚢腫であった.
脾嚢腫は比較的まれな疾患で,われわれが調べ得た本邦集計でも207例にすぎない.脾嚢腫を嚢腫壁内面の内被細胞の有無により真性嚢腫と仮性嚢腫に分けるが,本邦例でのその割合は107:100とほぼ同数であった.男女比は仮性嚢腫では47:52であるが,真性嚢腫では33:68と女性に多い傾向がみられた.年齢別では真性嚢腫は若年層に多く,仮性嚢腫では20歳以上に多くみられ,各年代比較的平均していた.症状は真性嚢腫では無痛性腫瘤触知が多く,仮性嚢腫では有痛性腫瘤触知が多かった.仮性嚢腫の成因には外傷が大きな役割を果しているといわれ,本邦例では31%に胸腹部打撲の既往があった.石灰化の比率は真性嚢腫で12.2%, 仮性嚢腫で45.0%と仮性嚢腫に多く,石灰化の程度も仮性嚢腫に高度な石灰化が多かった.脾嚢腫の昭和48年以前の術前診断は46.2%と低率であるが,昭和48年以降は78.2%と診断率の向上が著しく,治療においては,脾摘術が96.5%の症例に施行され,他臓器の悪性腫瘍の合併がないものは,すべて予後良好であった.
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