日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
Print ISSN : 0386-9776
ISSN-L : 0386-9776
クローン病および腸結核の臨床病理学的検討-特に両者の鑑別を中心にして-
田村 利和三浦 連人川人 幹也宇高 英憲古味 信彦柳田 淳二
著者情報
ジャーナル フリー

1985 年 46 巻 7 号 p. 910-917

詳細
抄録
炎症性腸疾患のなかでもクローン病と腸結核は類似した病態を示し,鑑別困難な症例も少なくない.今回,著者らは過去7年6カ月間に当科で経験し確定診断を得たクローン病10例,腸結核8例について臨床病理学的検討を加え,以下の結果を得た.
1) 平均発症年齢は,クローン病が25.1歳,腸結核が46.4歳であった.
2) 臨床症状は両者に腹痛が高率にみられたが,特徴的なものはなかった.
3) 検査所見上,両者に赤沈の亢進,貧血,低蛋白血症等がみられたが,クローン病の方が概して高度であった.また,ツベルクリン反応の陽性率は,クローン病が40%, 腸結核が100%であった.
4) 病変部位では,両者ともにskip lesionがみられた.
5) 切除標本肉眼所見では,クローン病では縦走潰瘍,腸結核では不整形潰瘍がみられた.炎症性ポリポージスは両者にみられcobblestone appearanceとの鑑別は困難と考えられた.
6) 組織学的には,肉芽腫が乾酪性か否かで両者を鑑別することは困難で,むしろ裂溝形成やリンパ管拡張がクローン病で高率にみられた.
以上より,両者の鑑別は治療経過を含めて総合的に行う必要があると考えられた.
著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top