日本臨床外科医学会雑誌
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メッケル憩室のMesodiverticular-bandによる絞扼性イレウスの1手術例
中村 昭博小武 康徳野川 辰彦遠近 裕宣円城寺 しづか関根 一郎
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1990 年 51 巻 3 号 p. 531-534

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抄録

メッケル憩室の合併症の中でmesodiverticular bandによる絞扼性イレウスは稀である.今回われわれは,本症の1手術例を経験し,病理組織学的にもmesodiverticular bandであることを確認できたので若干の文献的考察を加え報告する.
症例は13歳男子,強度の腹痛出現し来院した.defenceが出現し,腹部単純写真でniveauを認め,WBC 20,900, CRP(++)と強い炎症所見を認めた.絞扼性イレウスの診断で,開腹術を施行した.
回腸末端から約50cmの部にメッケル憩室があり,憩室の先端から出た約5cmの索状物が小腸間膜の根部付近に付着し,その間に小腸が入り込んで絞扼されていた.小腸を約50cm切除し端々吻合を行った.索状物は内部に血管を確認でき,mesodiverticular bandと判定した.術後経過良好で術後22日目に軽快退院した.

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