抄録
症例は手術歴のない35歳の男性.家族歴に特記事項なし.腹痛と嘔気を主訴に,腸閉塞の診断で入院.入院時諸検査および消化管透視で特異的所見なく,保存的治療にて症状改善し退院.その後,症状の再発を繰り返し, 7カ月後に再入院.小腸二重造影で回腸狭窄を指摘され,小腸腫瘍による腸閉塞と診断される.開腹すると,腸間膜リンパ節の腫大,白色小結節の腹膜散布を認め,回腸の狭窄部を含み右半結腸切除術を施行.切除標本では回腸に2カ所の輪状狭窄を含む多数の病巣を認め,病理組織学的に結核と診断され,抗結核療法施行後,軽快退院した.胸部に異常を認めない腸結核は孤在性腸結核と呼ぶが,診断が困難なため,その治癒期に腸閉塞を合併することがあり,手術適応となる.手術時には迅速病理組織診にて早急に診断を確定し,過大な手術々式を回避するよう注意すべきである.