抄録
肝機能障害の患者に外因性cyclic AMP (Dibutyryl cyclic AMP: DBcAMP)を投与し,肝機能検査の成績から,術後ならびに放射線照射後等の肝機能障害に対する有効性について検討した. DBcAMPの投与法は,総量300~600mgとし, 10~24時間かけて持続点滴静注した.対象は肝癌(術後)症例7例,閉塞性黄疸症例8例,肝細胞性黄疸症例2例,肝硬変症4例,胃癌術後症例4例,膵癌術後症例4例,総胆管癌術後症例2例,直腸癌術後症例1例,放射線照射後症例1例の合計33例であり,そのうち19例(58%)に生化学的肝機能検査値上の有効性を確認した.また, DBcAMPの副作用は33例中18例(22件)にみられ,悪心・嘔吐,倦怠感・脱力感,食欲不振,心悸亢進などであった.これらの副作用に対しては,薬剤投与速度を遅くすること,制吐剤の静注,副腎皮質ホルモン剤の静注が有効であった.急性肝障害とくに胆汁うっ滞型に対して, DBcAMP療法は有用であることが示唆された.