抄録
過去6年間に,閉塞性動脈硬化症によるAorto-Iliac領域の病変に対して行った解剖学的バイパス(AB) 42例と,非解剖学的バイパス(EAB) 48例の長期成績を比較した.その結果, (1)手術時年齢はAB群62.2歳, EAB群74.1歳(p<0.001), (2) Limb salvage症例はAB群19%, EAB群52.1% (p<0.005), (3)グラフト開存率は術後1年迄はAB群が良かったが(p<0.05), 5年ではAB群92.7%, EAB群80.9% (n.s.), (4)術後5年生存率はAB群80.7%, EAB群38.6% (p<0.05)で,しかも常にグラフト開存率より低い, (5) F-Fバイパス28例中,閉塞した4本は総てスパイラル無しのグラフトであった.以上,対象がハイリスクであるにも拘らずEABは好成績であった点から, 70歳以上の高齢者には間歇性跛行症例をも含めて, Dacron EXSグラフトによるEABを積極的に行い,患者のquality of life向上を図る方針である.
