日本臨床外科医学会雑誌
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高齢者肺癌の手術成績
大崎 敏弘中橋 恒土橋 一仁堀内 芳夫白日 高歩
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1992 年 53 巻 10 号 p. 2338-2342

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抄録

肺切除術を施行した75歳以上の原発性肺癌患者48例(全切除例の12.6%)を検討した.男性37例,女性11例,最高齢は86歳で80歳以上が14例であった.病期はI期25例, II期8例, IIIA期11例, IIIB期3例, IV期1例であった.組織型は腺癌と扁平上皮癌がともに17例であった.術式は,肺葉切除41例,肺全摘3例,区域切除1例,部分切除3例であった.累積5年生存率は20.7%であった.手術成績不良の原因として術後合併症が高率であったこと,相対的非治癒切除が31例と多数を占めたことが考えられた.術前肺機能と術後肺合併症の間に関連はなく,肺機能検査だけでなく,高齢者特有の知的精神機能,術前P. S.の評価,日常生活の積極性も含めた総合評価が必要で,術前P. S.はできれぱ1度以下が望ましい.相対的非治癒切除の5生率は20.6%で,絶対的非治癒切除の16.7%と有意差はなく,高齢者でも原則的にR2までの縦隔郭清を考慮すべきと考えられた.

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