抄録
1981年から1990年までの10年間に教室で経験した術中胆道損傷症例は14例であり,このうち6例は他医にて手術が行われた.原因疾患は,ほとんどが胆石症(総胆管結石症を含む)であり,教室における術中胆道損傷の発生頻度は1.04%であった.損傷原因としては,高度な炎症性癒着によるものが9例と過半数を占め,次いで操作技術によるものが3例,胆管分岐異常によるものが2例であった.損傷部位は,総胆管が5例と最も多く,次いで総肝管4例,三管合流部2例,副肝管2例,胆嚢管1例の順であった. 14例中8例は術中に修復され, 6例は術後修復が行われた.修復術式別にみると,胆管端々吻合3例中2例(66.7%),胆管・空腸吻合7例中2例(28.6%)に吻合部狭窄を生じているが,狭窄発現までの時期,炎症の程度,吻合方法などを考慮すると,胆管・空腸吻合のほうがより優れた術式であることが示唆された.