日本臨床外科医学会雑誌
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術中胆道造影にて診断された総胆管結石症例(unsuspected common bile duct stone)の検討
岩澤 卓平尾 泰宏島田 守高山 卓也井上 雅智寺島 毅金子 正水谷 澄夫岡川 和弘
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1992 年 53 巻 11 号 p. 2621-2626

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抄録

胆嚢結石症として手術され,術中胆道造影にてはじめて総胆管結石と診断された症例(unsuspected common bile duct stone)を最近7年間に9例経験した.今回この9例を,術前より診断がなされていた総胆管結石症24例および最近2年間に手術された胆嚢結石症66例と比較し,胆嚢摘出後遺残結石の予防に関する考察を行った.検討の結果, unsuspected stone 9例は,コレステロール系の小結石で胆嚢管が拡張した症例が多く,そのほとんどは胆嚢内から逸脱したものと考えられた.この9例の術前診断は,黄疸の既往,血液生化学検査(ビリルビン, GOT, γ-GTP,アミラーゼ値の上昇),画像検査(CBDの拡張,胆嚢内小結石)から予測は可能であった.少なくともこれらの条件に当てはまる症例には術中胆道造影を行い,総胆管内結石の疑いがあれば積極的に総胆管切開を行うことが遺残結石の予防には重要であると考えられた.

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