抄録
最近10年間に経験した先天性胆道拡張症の再手術例から,初回手術術式について考察を加えた. 2例は初回手術が嚢腫消化管吻合で,遷延する胆管炎のため再手術を要した. 4例は嚢腫切除,肝管空腸吻合術後の症例で,再手術の原因は吻合部狭窄,胆汁うっ滞に伴う肝内結石や胆管炎であった.とくに肝内胆管拡張を伴う戸谷IV-A型に対して,嚢腫切除,肝管空腸吻合を施行した3例中2例は,初回手術時より存在した吻合部の相対的狭窄から肝内結石を形成し再手術を要した.残る1例は吻合部狭窄はなく,初回手術時よりの肝管狭窄,肝内一次分枝狭窄が原因の胆管炎で再々手術で肝切除を施行した.先天性胆道拡張症の初回手術は嚢腫切除,肝管腸吻合による分流手術が基本であり,肝門部肝管における大きな吻合口の作成が再手術の予防に役立つ可能性があると考えられた.