日本臨床外科医学会雑誌
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膵頭十二指腸切除術後の膵腸縫合不全に起因する腹部大量出血例の検討
小松 永二今泉 俊秀磯部 義憲鈴木 衛中迫 利明小形 滋彦吉井 克己原田 信比古木村 健羽鳥 隆羽生 富士夫
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1992 年 53 巻 11 号 p. 2638-2644

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抄録
膵頭十二指腸切除術後の膵腸縫合不全に起因する大量出血例の発生状況,出血状況,治療法につき検討した.対象は1968年から1989年までに教室にて施行した膵頭十二指腸切除術例565例である. 1) 膵腸縫合不全に起因する大量出血は16例であった. 2) 腹腔内出血12例,消化管出血4例であった. 14例が明らかなショック状態に陥った. 3) 止血法の内訳は圧迫止血4例,開腹手術8例,経カテーテル的動脈塞栓術(TAE) 4例であった. 4) 開腹手術では出血部位を確認できたのは3例のみであったが, TAE例では全例確認可能であった. 5) 圧迫止血,開腹手術例では全例死亡したが, TAE例では1例を失ったが, 3例を救命できた.膵頭十二指腸切除術後の大量出血はいまだ致命的な合併症であり,まず緊急止血を第一に考え, TAEを第1選択とすべきであると考えられた.
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