1992 年 53 巻 11 号 p. 2701-2705
Vater乳頭部に近接した十二指腸脂肪腫の1手術例を経験したので,本邦報告例を含めて報告した.
症例は75歳の男性で,上部消化管内視鏡検査で,十二指腸下行脚に粘膜下腫瘍を偶然に発見された. Vater乳頭部に極めて近接していたために開腹下に腫瘍を摘出した.摘出標本は1.0×1.0×0.8cm大で,病理組織学的に十二指腸粘膜下の良性脂肪腫であった.粘膜下腫瘍の治療に内視鏡的ポリペクトミーを行う例が,最近多くみられるが,腫瘍の発生部位,大きさ,形態によっては外科的切除の適応も考慮すべきである.