抄録
最近経験した成人型腸重積症の3例はいずれも小腸悪性腫瘍(空腸腺癌,回腸平滑筋肉腫,回腸悪性リンパ腫)に起因していた.いずれも開腹の既往のない腸閉塞症で発症しており,腸管内減圧後に施行した小腸造影や血管造影などにより腸重積症と診断しえた.減圧チューブより施行した重積部の口側の造影では先細りの所見(pencil tip appearance)が得られ,腸重積症に特徴的な所見と思われた.また,上腸間膜動脈の造影は重積の診断に大変有用であったが,腫瘍の存在診断やその質的診断には至らなかった.成人型腸重積症はその多くに原因となる器質的疾患を伴うが術前診断は困難で緊急手術となる場合も多い.今回の経験にて腸重積症の多くは減圧療法が有効で待機的手術が可能であることが明らかとなった.原疾患が悪性腫瘍である場合も少なくないことを考慮すれば,適切な手術方針をたてるために術前診断が可能となる意義は大きいものと思われた.