日本臨床外科医学会雑誌
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鈍的腹部外傷による上腸間膜静脈損傷の1症例
渡辺 俊治鬼木 寛二明田 憲昌
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1992 年 53 巻 11 号 p. 2711-2714

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抄録
鈍的腹部外傷による上腸間膜静脈損傷の1症例を経験した.症例は29歳男性,作業中に木材で上腹部を打撲した.来院時血圧は110/68mmHg,脈拍は78/分,上腹部に擦過傷と軽い腹膜刺激症状を認めた.開腹時腹腔内には約700mlの血液が貯留していた.トライツ靱帯より30cmの空腸に穿孔がみられ,さらにそれより70cm肛門側の空腸から回腸末端迄の小腸が鬱血のため暗赤色に変色していた.上腸間膜静脈は第1空腸静脈の分岐直後で完全に断裂し,両断端は血栓で閉塞止血していた.全身状態が安定していたので,大伏在静脈を用いて血行再建術を行ったが,再建静脈は早期に閉塞した.一過性にGOT, LDH, CPKが著明に上昇したが小腸の梗塞壊死は生じなかった.しかし後遺症として術後9カ月の現在も慢性の下痢と栄養障害が継続している.
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