日本臨床外科医学会雑誌
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胆石手術を契機に発見された肝吸虫症の1例
中野 秀麿大岩 靖典下川 邦泰
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キーワード: 肝吸虫症, 胆石症
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1992 年 53 巻 11 号 p. 2757-2762

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抄録
58歳の男性が下痢と心窩部痛を訴えて来院した.末梢血検査で白血球が13, 400/mm3と増加していた.点滴静注胆道造影,腹部エコー,腹部CTより胆石症と診断した.胆嚢摘除術後に術中胆道造影を行い,総胆管の壁不整がみられたために総胆管切開したところ, 4×10mmの黒褐色の扁平な小結石様物質が28個流出してきた.手術は総胆管十二指腸側側吻合術を行った.胆嚢内には0.7×1×1cmの結石が1個と4×10mmの小結石様物質が6個あった.術後に,小結石様物質は肝吸虫と同定され,検便(MGL法)で肝吸虫の虫卵が認められた.術後17日目より吸虫駆除剤(Biltricide 41.4mg/kg/日)を内服させ,良好に経過して術後42日目に退院した.術後に患者の食生活について詳細に調査したところ,鯉の刺身(洗い)を年に数回食べていたことがわかった.
日本人は刺身を食べることが頗る多く,胆道系疾患が疑われる場合には,肝吸虫症の存在も念頭において精査しなくてはならない.
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