抄録
症例は64歳男性で, 1年前に胃粘膜下腫瘍に対し幽門側胃切除術を施行され,病理にて平滑筋肉腫の診断で,その後経過観察をしていた.最近になり腹部エコーにて肝右後区域に66×59mmの嚢胞状の肝内腫瘤を指摘された.肝単純CTでは腫瘤は嚢胞状を呈し,嚢胞壁は肥厚しており,造影CTでは壁が濃染していた.嚢胞壁の生検を行い平滑筋肉腫の肝転移との診断を受け,肝右葉切除,右尾状葉切除を行った.術後経過は良好であり,術後24日目に退院した.
消化管原発平滑筋肉腫の肝転移は融解壊死傾向が強く,嚢胞状を呈し,また多発性で,散在性の発育形式をとるために手術不能例が多い.腫瘍壁には腫瘍血管の増生が多いことを利用し,動脈塞栓術が有効であったとする報告もなされている.しかし,肝転移は患者の予後を決定する因子であるために積極的な肝切除術が望ましいと考えられた.