日本臨床外科医学会雑誌
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消化管ホルモン分泌に対する迷走神経切離術の影響
門口 幸彦杉山 貢
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1992 年 53 巻 12 号 p. 2844-2849

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抄録

消化管ホルモンの分泌動態に対する迷走神経の関与を明らかにするために以下の臨床的研究を行った.迷走神経切離前後の消化性潰瘍患者にインシュリン低血糖による迷走神経刺激を行い,血中のガストリン・セクレチン濃度の変化を観察した.同時に胃液を採取し胃酸分泌量を測定した.手術前においてはインシュリン低血糖刺激により血中ガストリン濃度は上昇した.選択的近位迷走神経切離術(SPV)後でもインシュリン低血糖刺激により血中ガストリン濃度は上昇した.一方全幹迷走神経切離術(TV)後ではインシュリン低血糖刺激により血中ガストリン濃度は変化しなかった.血中セクレチン濃度は迷走神経切離前後ともにインシュリン低血糖刺激に反応しなかった.胃酸分泌はSPV術後, TV術後ともに同程度に低下した.以上よりSPVはTVに比べて減酸効果が劣らないのみならず術後の消化管ホルモン動態,消化機能の温存の点からより優れた術式と思われる.

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