日本臨床外科医学会雑誌
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胃癌の骨,骨髄転移スクリーニングにおけるFDP検査の有用性について
青木 輝浩木下 平笹子 三津留丸山 圭一
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キーワード: 進行胃癌, 骨・骨髄転移
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1992 年 53 巻 12 号 p. 2858-2863

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抄録

広範な転移,浸潤を伴う胃癌は,過凝固状態にあり, disseminated intravascular coagulation (DIC)準備状態である.そこで術前のfibrinogen degenerative product (FDP)値に着目し,骨,骨髄転移に対する検索を行った. 1984~88年に入院した進行胃癌症例641例にFDPの測定を行った. FDP≧20μg/mlの11例に骨シンチまたは骨髄穿刺を行い, 4例(36.4%)に骨あるいは骨髄転移を証明し,手術を回避したが, 4回とも早期に顕性のDICに移行した.
また, FDP高値例はBorrmann 3, 4型の浸潤型が多く,深達度が深く,腫瘍最大径も大きく,リンパ節転移も広範で, Stageの進行した例が多く,組織型では分化度の低い傾向が見られた. FDP値別の累積5年生存率は, FDP<10μg/ml群47%, 10μg/ml≦FDP<20μg/ml群11%で, 20μg/ml≦FDP群では5年生存例はなかった. FDP値は胃癌の進行度を反映する重要な予後因子であり,胃癌骨,骨髄転移の簡便なスクリーニング検査として重要であると考えられた.

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