日本臨床外科医学会雑誌
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高齢者胃癌手術における術後合併症の検討
谷 和行野口 芳一円谷 彰牧野 達郎福沢 邦康野村 勝俊山本 裕司今田 敏夫天野 富薫松本 昭彦
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1992 年 53 巻 12 号 p. 2864-2868

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抄録

70歳以上の高齢者胃癌手術例107例における問題点を術後合併症および生存率から検討した.術後合併症は,縫合不全,肺合併症の頻度が高く,これらの約半数は,これが原因で死亡した.術前の諸検査所見および主要術前合併症,年齢, Stage,術式と術後合併症の発症との間には,有意な関連は認められなかった.また術後合併症の有無は術後生存率に有意な影響を与えなかった.合併症による死亡例は7例(7%)で,全例がStage IVであった. Stage IV症例では,術後合併症の有無で術直後の生存率に一時的に有意差が生じたが,この差はStage IVの進行度による早期再発死亡の影響で,術後4カ月以降では消失した.以上の結果より,高齢者胃癌手術例においては通常施行される術前検査所見から術後合併症を予測することは困難であり,その発症は特にStage IV症例で合併症死亡と関連があった.従って高齢者Stage IV胃癌の治療にあたっては,合併症予防により細心の注意が必要である.

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