日本臨床外科医学会雑誌
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切除不能胃癌の予後を規定する因子 -生存期間からの検討-
小山 裕文小玉 雅志曽根 純之作左部 大荒川 明千田 禎佐緒佐々木 範明小山 研二
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1992 年 53 巻 12 号 p. 2869-2872

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抄録

1976年から1987年までの12年間に教室で経験した切除不能胃癌は78例(7.3%),平均生在期間は5.6カ月であった.累積生存曲線で傾きの変わる8カ月を境として長期生存群(13例)と早期死亡群(65例)の2群に分け,その背景因子を比較検討した.両群間に差の認められた因子は,切除不能となった因子数,組織型であった.切除不能因子では,早期死亡群では2因子以上の複数の因子が関与し,特にS, P, N因子の複合が多かった.組織型では,長期生存群で分化型腺癌が多く,早期死亡群では低分化型腺癌が多かった.一方,胃空腸吻合術などの姑息手術やMMC, 5-FUを主体とする従来の化学療法は予後に関与せず,切除不能胃癌の予後規定因子に有効に作用する新しい化学療法により,予後の改善を計るべきと考えられた.

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