日本臨床外科医学会雑誌
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80歳以上高齢者の消化器手術症例の検討
佐藤 元通渡部 祐司大越 輝紀島瀬 公一藤石 秀三小野 仁志竹増 公明木村 茂
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1992 年 53 巻 12 号 p. 2873-2878

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抄録

80歳以上の高齢者の消化器手術151例の手術成績を検討した.待機手術102例,緊急手術49例で検討すると,救命効果はそれぞれ5例, 25例, Quality of life (QOL)改善効果は58例, 33例で得られたが, 7例, 13例が術後死亡した.良性疾患71例中41例は緊急手術を要し,重症例が多かった.悪性疾患のうち治癒切除し得た症例のQOLがより改善された.術後死亡20例の死因は原病死8例(癌死4例,術前よりのMOF 4例),手術死6例(縫合不全4例,膵炎1例,肝不全1例),他病死6例(心血管疾患2例,肺合併症2例,脳梗塞1例,不明1例)と他病死の割合が高かった.高齢者消化器手術はリスクがあるが,周術期を乗り越えれば60%の症例でQOLが改善される事より,高齢者に対してもタイミングを逸することなく,適切な手術を行うべきである.

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