1992 年 53 巻 12 号 p. 2961-2966
症例は48歳男性.慢性腎不全で約10年間家庭透析を施行.定期検診にて胸部異常陰影を指摘され,精査にて左肺癌と診断し,左上葉切除術+縦隔郭清術を施行した(pT2N1M0,大細胞癌).血清K高値のため術後7時間で血液透析を施行した.術中および術後透析中は問題なく経過した.透析中の体外循環路の抗凝固薬にはメシル酸ナファモスタットを用いた.術後経過も極めて良好であった.厳重な術前・術中・術後の管理により,透析患者の肺癌でも手術適応のある患者には積極的に手術をする意義を認めた.