日本臨床外科医学会雑誌
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巨大食道平滑筋肉腫の1例
岩田 宏片岡 誠桑原 義之呉山 泰進川村 弘之三谷 真己坂上 充志篠田 憲幸加島 健利佐藤 篤司服部 浩次正岡 昭
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1992 年 53 巻 12 号 p. 2967-2970

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抄録

今回われわれは巨大な食道平滑筋肉腫の1例を経験したので報告する.症例は61歳女性で,徐々に増強する嚥下障害と呼吸困難を主訴に来院.精査の結果食道平滑筋肉腫と診断された.全身状態が不良であったため,手術は2期的に行った. 2回目手術後2カ月めにDICからMOFとなり死亡した.剖検にて全身組織の感染を認めたが,起因菌は同定されなかった.また,肉腫の再発・転移も認めなかった.本症例においては3年前より嚥下障害がありながら,呼吸困難を来し初めて近医を受診している.当科入院時すでに胸水貯留・肺機能低下が見られ,これが治療を困難にした.食道の筋原性腫瘍の良悪性の術前診断は極めて困難であるのに対し,今日では開胸手術は比較的安全に行え内視鏡的にも切除術可能な症例が増加しつつあることから,発見後早期に切除を行い組織学的に確定診断をつけ治療方針を決定すべきである.

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