1992 年 53 巻 12 号 p. 2986-2989
分娩時期に一致して急性腹症を呈し,当初胎盤早剥と診断された胃癌穿孔症例を報告する.患者は28歳,経産婦.妊娠37週にて急性腹症を呈し,翌日誘発分娩した.しかしその後も腹痛は持続し,腹部単純X線写真にてfree airを認めた為開腹術を施行した.胃角部の穿孔及び胃壁全体の腫大を認めた為大網充填術を施行した.術後の胃透視像にて胃体部より前庭部にかけて筒状の狭窄像が進行する為スキルス胃癌を疑い再開腹術を施行したが切除不能であり,患者は初回手術後13カ月で死亡した.