日本臨床外科医学会雑誌
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真性多血症を合併した胃癌の1手術例
川平 洋一中尾 量保濱路 政靖仲原 正明荻野 信夫宮崎 知
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1992 年 53 巻 12 号 p. 2990-2994

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抄録

症例: 82歳,男性.既往歴: 1979年脳出血発作が起こり,この際,真性多血症を指摘された.現病歴: 1989年,胃部不快感を自覚し,上部消化管透視,内視鏡検査で胃癌と診断され,手術目的で当科入院した.末梢血:ミトブロニトールの投与下に,赤血球数401万/mm3,白血球数6,200/mm3,血小板数66.8万/mm3. 1990年5月15日,胃癌の診断で胃全摘術を施行した.手術所見:硬膜外併用全身麻酔下に開腹すると,腹水なく,胃癌の進行度はP0H0S2N2, stage IIIであった.術後経過:術直後からウリナスタチンを1日量20万単位で開始,また術当日の血小板は73.2万/mm3まで上昇し,活性化凝固時間は46秒に短縮したため,術後2日目から11日目まで活性化凝固時間を150秒前後に保つべく,ヘパリン400~600単位/h持続静注した.ミトブロニトールは経口可能となった術後9日目から再開した.梗塞,出血などの続発症なく,術後20日目に略治退院した.

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