日本臨床外科医学会雑誌
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早期胃癌術後孤立性脾臓転移の1手術例
白井 聡五十嵐 達紀渡辺 和義河野 史尊林 朋之吉田 勝俊羽生 富士夫小林 誠一郎
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1992 年 53 巻 12 号 p. 3012-3016

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抄録

早期胃癌の治癒切除後2年9カ月を経て孤立性脾臓転移を認め脾摘し得た1例を報告した.
患者は63歳男性で,発熱と左側腹部痛を主訴に来院し,腹部超音波検査, CT検査,血管造影検査により脾膿瘍および脾腫瘍と診断され脾摘術を施行した.肝転移,リンパ節転移,腹膜播種は認めなかった.摘出標本は脾実質内部に5×4.5cm大の腫瘤を認め,病理組織所見では高分化腺癌であり2年9カ月前切除した早期胃癌病理組織像と酷似しており胃癌の脾臟転移と診断された.
脾臓転移は末期癌では他に複数の転移巣を伴った状態でみられることがあるが,孤立性脾臓転移は極めてまれであり,特に原発癌が消化器癌で脾摘し得たものは検索し得た限りでは本邦では自験例を含め12例であり,なかでも早期癌は他には報告されていない.

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