日本臨床外科医学会雑誌
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症状を欠くステロイド産生副腎皮質癌の1例
河内 康博飯尾 里吉村 耕一江里 健輔西田 健一
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キーワード: 副腎皮質癌
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1992 年 53 巻 12 号 p. 3017-3021

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抄録

症例は61歳の女性で,全身倦怠感,嗄声をきたし,精査目的に入院した.左前頸部に表面平滑,弾性軟の甲状腺腫を触知し,画像診断で良性甲状腺腫と判断した.しかし腹部超音波検査で脾と左腎との間に境界明瞭,不均一な内部エコー像を呈する9×7cmの充実性腫瘤を認めた. CT, MRIでは,境界明瞭,内部はほぽ均一な副腎腫瘍と考えられた.内分泌学的検査では血中DHEA-sulfate,プロゲステロンおよび尿中17-KSが高値を示した.甲状腺腫を合併した症状を欠くステロイド産生副腎皮質腫瘍の診断で左副腎摘出術を施行した.腫瘍の大きさは10×8×7cm,重さは295gで,薄い線維性被膜で覆われていた.割面は褐色,弾性軟の充実性腫瘍で,出血や壊死巣を散在性に認めた.病理組織学的には副腎皮質癌と診断された.

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